Interview No.50 藤崎 伊久哉
工学院
工学院の電気電子系の博士3年の藤崎 伊久哉です。趣味はエレキギターとかゲームとかインドアが多くて、たまに釣りに行って自然とたわむれています。魚介系を食べるのが好きです。博士課程をしながら、スタートアップをしています。このようなキャリアに興味がある方の参考になれば嬉しいなと思ってこの記事を書きました。
研究概要 / Research Outline
わたしは、ダイヤモンド中の電子スピンを量子ビットとして用いることでセンシングを行う、ダイヤモンド量子センサに関する研究をしています。その中でも特に、高度な量子操作を行うことによって、センサの性能を向上させることをテーマとしています。このセンサは、多様な物理量を測定することが可能ですが、特に磁場を測ることを得意としていて、従来のセンサでは実現できなかった、情報取得を可能にします。

博士課程でディープテックスタートアップをやるということ
なんでスタートアップを立ち上げたのか?
わたしは博士課程在学中に、研究している技術(以下:当技術)を社会に届けることを目的として会社を立ち上げました。理由はたくさんあります。もともと、テクノロジーで多くの人の役に立ちたい、という思いが強くあったこと。技術としてとても面白いと感じたこと。応用可能性が広く、社会に役立つものになるんじゃないかと感じたこと。技術が実際にだれかに使われるようになるまで自分の手でやりたいと感じたこと。本当にこの技術が新しい市場を作れるのか好奇心があったこと。などなど、細かい理由はたくさんありますが、結局は、「直感でやりたいし、やれると感じたから」が一番大きいと思います。
どう始まったのか?
最初は、簡単なビジネスモデルを考えて、いろいろな人に話していたら、興味を持って支援してくださる方に偶々あえて、いろいろと教えてくれたりするようになっていきました。会社を作ってからは、業務に加えて、多くの方と出会って、困っている課題はないか?当技術が入り込める余地はないか?等の議論をしたり、考えたりしていました。すべての作業が自分にとって初めての経験なので、失敗をすることも多く、いかに自分にできないことが多いかを痛感することも多いです。しかし、それでも、新しいことを経験する、知識を得られる、人を知れる機会はとても多いので、面白いと感じます。
博士課程とスタートアップの両立は可能?
可能ではありますが、正直なところ、物理的・精神的にかなり厳しい面があることは否定できません。研究に加えて、書類仕事や訪問、ミーティング、調査、プレゼン等をこなす必要があり、業務量としてもですが、特に研究のように、日単位での長時間思考が必要な作業は、その間にタスクが入ってしまうと思考が途切れてしまうため、うまく時間配分ができなかったりするのが大変だと感じます。やること・考えることが多すぎてショートしてしまうこともあります。支えてくださる方々がいて、やれているような状況です。
なんで在学中に始めたのか?
理由に合理性はありません。わたしは、スタートアップを自分の時間を賭けて、実現したい未来を狙う博打のように捉えています。特にディープテックスタートアップと呼ばれるこの領域は、製品を開発したとしても、実際に売れるかどうか定かではないですし。そもそも買い手候補すら見つからないかもしれません。そのリスクに対する恐さはあっても、わたしは、好奇心と期待感の方が勝っていると感じます。その博打をやるなら、キャリアが定まってない時期が最もやりやすいと感じて、始めました。

メッセージ / Message
まとめ
最近、スタートアップという言葉が身近になってきて、キャリアの一つとして考える人も増えているかと思います。ただ、人数としてそういったキャリアを歩む人が少ないのもあり、リアルな意見があまりないように思って、できるだけ業務内容に触れず感想的な部分を書いてみました。今後、そういった方の進路を考える一助になれば幸いです。
