山のすゝめ

Interview No.42 川口 彰太
生命理工学院

 生命理工学院 博士1年の川口彰太です。趣味はタイトルの通り、山登りです! 休日は大体山に登っています。2024年の4月から東京科学大学に入学しました。修士までは名古屋にいて、関東の山はあまり登ってこなかったので、あと2年で関東の百名山を登り尽くしたいと思っています!

研究概要 / Research Outline

 私の研究テーマは「細胞外小胞の1粒子解析による慢性炎症の早期検知」です。慢性炎症は、弱い炎症が長期間持続する状態であり、認知症や免疫疾患、心血管疾患など、さまざまな難治性疾患を引き起こす一因とされています。そのため、定期検査によって慢性炎症を早期に検知し、適切な治療を行うことで、できるだけ早期に病状を制御する必要があります。定期検査の手法としては、尿などの体液を用いて低侵襲で検査できる液体生検の技術が注目されており、その検出対象として細胞外小胞が重要視されています。細胞外小胞は、直径30-200 nmほどの微粒子で、ほぼすべての細胞から分泌されます。さらに、分泌した細胞に由来するタンパク質や核酸などの多様な生体分子を含んでいます。分泌された細胞外小胞は体液中を巡り、他の細胞に結合・取り込まれることで細胞間の情報伝達を担うと考えられています。これらの生体分子は分泌元の位置や健康状態を反映するため、1粒子ごとに解析すれば、理論上、疾患の発生部位や進行度を捉えることができる可能性があります。しかし、そのような技術はまだ十分に確立されていないため、私はナノ材料を用いて細胞外小胞を捕捉し、1粒子レベルで解析できるデバイスの開発に取り組んでいます。

山のすゝめ

はじめに

 山登りって何が面白いのかわからない、きつい汚い危険(3K)、そう思っている人は多いと思います。確かにそういう側面もありますし、人を選ぶ趣味かもしれません。ですが、自然が好きな人や散歩が好きな人にはハマると思います。山登りは言うなれば「エクストリーム散歩」なのです。山登りは山の中を歩くので、綺麗な風景やスリリングな道、見たことない動植物など、街中を歩くのとは比較にならない非日常的で刺激的な体験ができます。山の中で食べる、食べ慣れたはずのカップラーメンはなぜか格別に感じますし、下山後に麓の温泉に入ってのんびりしたり、地のものをつまみに地酒を飲んだりした時には昇天しそうになります。これを読んでいる、そこのあなたにも是非この快感を味わってほしいと思い、山登りの仕方についてしたためました。

必要な道具・スキル

 登山をする上で必須とされる道具は3種の神器と呼ばれ、以下の3つが挙げられます。

  • 雨具:上下セパレートのもの、ゴアテックスが望ましい。ex.) ストームクルーザー(モンベル)
  • 登山靴:アルパインもしくはトレッキング仕様。ex.) マウンテンクルーザー600(モンベル)
  • ザック(リュック):30 Lくらいが丁度良いと思う。ex.) チャチャパック 30(モンベル)

 その他にも、防寒着、ヘッドランプ、食べ物、飲み物、救急キット、地図などが必要だったりします。おそらく、必要な道具を一通り集めると10万円くらいしますし、都度交通費がかかります。ですが、道具が一番のネックで、必要なスキルに関しては、健康であることが唯一の条件です。いくつか山を登れば、疲れない歩き方など、自ずと技術も身につきますし、体力はあるに越したことはありませんが必須ではありません。自分の体力に合わせて計画や行程を立てて、無事に下山すれば良いのです。もちろん登りたい山やルート、季節によって必要な道具・スキルは変わってきますが、無雪期登山なら上記のもので十分と思います。

計画・準備

 大体の手順は以下の通りです。準備は早いに越したことはないです。1ヶ月前~遅くとも1週間前には計画すると良いです。

  1. 登りたい山を決める。ex.) 「関東 登山 おすすめ」で検索する等
  2. 交通手段やコースタイム、ルートの状況などを調べて、登山計画書を作る。YAMAPのアプリとか、山と高原地図(昭文社)が便利です。
  3. 1週間前~前日に天気予報をチェックして、良さそうだったら決行、悪そうだったら中止するか、天気の良い山域を探す。Mountain Weather Forecast (https://www.mountain-forecast.com/)が便利です。前々日にパッキングを済ませるのが理想。

おすすめの山

 関東圏の初心者の方には、やっぱり丹沢山・大山が良いと思います。アクセスが非常に良く、日帰りで登ることができ、晴れた日には富士山が見え、展望がとても良いです。「丹沢・大山フリーパス」を使うと交通費が数百円安くなり、乗り降り自由なので鶴巻温泉に寄ることもできます。
 今まで登ってきた中で、個人的に特に良かった山をいくつか紹介しますので、良ければいつか行ってみて欲しいです。

利尻山(北海道)

 利尻島にある1721 mの独立峰。頂上は360度パノラマで島の全貌を見渡せます。原付とか借りて島を一周すると、島のどこからでも見ることができて、めちゃくちゃ格好良いです。

剱岳(富山)

 北アルプスの立山連峰にある2999 mの山。国内で「一般登山者が登る山の内では、最も危険度の高い山」とされるだけあって、非常にスリリングなコースが楽しめます。一番人気の別山尾根コースは一服剱~前剱~ラスボス剱岳のボスラッシュでテンション上がります。剱沢から見た剱岳は、あらゆる山の中でもトップクラスで格好良く、みんな人生に一度は剱岳に登ってほしいと思います。

武尊山(群馬)

 群馬県北部の2158 mの山。冬はスキーリフトが使えて夏よりも早く山頂まで行けますし、ずっと景色の良い稜線歩きが続くので、冬山を始めた人にはぜひ登って欲しいです。剣ヶ峰は群馬のマッターホルンと呼ばれるほどで、コース全体を通して写真を撮るのがとても楽しいです。

メッセージ / Message

 研究生活に疲れた時、登山は良い気晴らしになります。休みの日もつい研究のこととか、将来のこととか考えちゃったりしますが、登山している時は登ることに夢中になって、嫌なこととか忘れて没頭できます。騙されたと思って、皆さんも登山やってみてください。