Interview No.46 金 起誠
工学院
工学院システム制御系システム制御コースの金起誠(キンキソン)です。東京都出身ですが両親の影響で広島東洋カープのファンになりました。普段は自宅で観戦していて、シーズンに何試合かは球場に足を運んでいます。
研究概要 / Research Outline
大まかな領域でいえば「サイバーフィジカルセキュリティ」、より具体的には、電力システムの自動発電制御に対するサイバー攻撃の検出を行っています。電力システムにおいては、需要と供給のバランスを一定に保つために観測値に基づく自動制御が行われています。この観測値が汚染されてしまうと、誤った制御によって需給バランスが崩れ、最悪の場合には広範囲の停電が引き起こされます。このような事態を未然に防ぐべく、ネットワークを通じて送られてくる観測値を監視し攻撃の有無を判断します。従来は電力システムの数理モデルを用いた検出法が主流でしたが、対象とするシステムの大規模化・複雑化に伴い、機械学習に代表される数理モデルに頼らないデータ駆動型の検出法の研究が盛んになっています。私の研究でもニューラルネットワークを用いて攻撃の検出を行っていて、検出能力の汎化や誤検出率の低下など様々な課題に取り組んでいます。
研究が行き詰ったなら山へ行くのはいかがでしょうか
今回の記事では私の趣味について書こうと思います。その趣味というのは登山なのですが、たまには軽く体を動かしたいという方やアウトドアの趣味を探している方、あるいは新しいストレス発散法をお求めの方にオススメですので、ぜひ読んでいただけるとありがたいです。私なりの登山の魅力と、実際に訪ねた山をいくつか紹介しようと思います。
私が思う登山の魅力は少々理屈っぽいですが、「成果(達成感)が高確率で約束されていて、仮に失敗しても理由が明確なこと」だと思います。具体的に言えば、地図の通りに進めば余程のことがない限り山頂にたどり着くというわけです。たどり着けない理由があるとすれば、道を間違えたか、悪天候やけがなどが原因で引き返したかくらいでしょう。当然といえば当然のことですが、これが魅力的に思えるのは普段の研究が「成果を約束されたもの」ではないからです。失敗の理由すらわからないことも日常茶飯事かと思います。もちろん、そうであるからこそ失敗の理由を知ったとき、成果を発見したときの喜びはひとしおで、私たちが研究にとりつかれている理由でもあるかと思いますが、それでも時には「約束された成果」に逃げたくなるものです。そんなとき私は山に登るのです。
一方で、雄大な自然、透き通った空気、土や草木の香りなど山そのものの魅力もたくさんあります。普段は研究室でパソコンに釘付けの私にとってはデジタルデトックスにもなります。一度道具をそろえてしまえば交通費以外に大きな出費はありませんし、地元のグルメや温泉とセットにすれば小旅行になります。そんな魅力たっぷりの山々のうち、三カ所をピックアップして紹介します。
一座目は大菩薩嶺です。初心者でも比較的らくに登れて眺望が抜群の山です。実は山頂付近は木が茂っていて眺望もほとんどなく、小ぢんまりとしているのですが、そこから伸びる稜線からは富士山や南アルプスの山々を望むことができます。私が行ったのは二年前の秋口で、風の影響か少し寒かったですが、色づいた木々がとても鮮やかだったと記憶しています。人気の山なのでハイシーズンの週末はどうしても混雑しますが、都心からのアクセスも良いのでぜひ訪ねてみてください。

二座目に紹介するのは八ヶ岳です。言わずと知れた名峰でたくさんの山屋たちが訪れる場所です。こちらは中級者向けの山で、私にとっては初めてのテント泊登山をした思い出深い山です。街の明かりが一切届かない山中のテントから見上げた満天の星空は、いまでもはっきりと思い出せるほど記憶に刻まれています。一方で八ヶ岳の最大の魅力は稜線歩きにあると思います。切り立った稜線からの眺望は言うまでもなく素晴らしく、ピークを一つ一つ攻略していく楽しさもあります。登山の魅力をぎゅっと詰め込んだような山行を楽しめると思います。テント泊をする場合は荷物も数倍に膨れますし、道具一式をそろえるのもハードルがあるので、山小屋の利用もオススメです。

三座目は鳥取大山です。せっかくなので関東近郊以外の山も紹介したいと思います。私は大山登頂をメインの目的としつつ、鳥取旅行も兼ねて行きました。地方遠征では観光も魅力の一つです。さて大山ですが標高自体はそれほど高くありません。登山道もよく整備されていて初心者でも簡単に登れると思います。私はあいにく天候に恵まれず山頂からの大パノラマを堪能できませんでしたが、中国地方最高峰からの眺めはきっと素晴らしいと思います。私が感じた大山のもう一つの魅力は麓から眺めた姿です。まさに「雄大」と呼ぶにふさわしい堂々たる姿です。登るのは難しいかなという方も、もちろん登る方も、もし米子市を訪ねる機会があれば麓からご覧になってください。

メッセージ / Message
ここまで本記事を読んでくださりありがとうございます。今回紹介した山はいずれも日本百名山でしたが、それ以外にも魅力的な山は数多くあります。西武線の秩父方面や中央線方面の山々は駅から直接アクセスすることもできますし、神奈川の丹沢山地にも初心者向けのコースがたくさんあります。天気のよい日に出かけてみてはいかがでしょうか。